- 2014-11-19 :
- 想い
共に過ごすこと

猫のMちゃんは胸に水が溜まる病気で1年以上前から通院して頂いた子でした。
去年の夏、呼吸がおかしいということで初めて来院された時はかなり胸に水が溜まっていました。精密な検査が必要だったので、大学病院で検査して頂いたところ、なかなか治すには難しいという結果。
手術という方法も提案させて頂きましたがご家族はMちゃんのことを考えお薬で治療していくこととなりました。
幸いお薬が良く効いて状態が良くなり、胸の水も自然に溜まらなくなりました。
それから1年、再び夏になり、また胸に水が溜まるようになりました。
最初はお薬も効いてよくなりましたが、次第に効かなくなり、他に数種類のお薬を試しましたが、残念ながら、昨年ほどの効果はみられませんでした。
徐々に体重が減り始め、呼吸も荒くなったので胸に針を刺してお水を抜く処置に変えました。この処置も最初の内は効果があったのですが、あまりにもお水の溜まる速度が速く、3日でお水が溜まってしまい、呼吸が苦しくなってしまうような状態になってしまいました。更に、胸腔内の繊維化が進み、お水の抜ける量も減ってきました。
Mちゃんの呼吸を楽にさせてあげられる方法にも限界がみえてきたため、今後のMちゃんについてご家族に1つの提案をさせて頂きました。
体力も体重も急激に減ってしまったMちゃんを今迄通り病院で数日毎にわずかでもお水を抜いてあげるのか良いか、それとも自宅で多少苦しみは出てしまうが、ゆっくりさせてあげるのが良いのか…。
ある意味、余命宣告になってしまいました。余命宣告というのは治療をあきらめてしまったようで出来る限りしたくありません。しかしながら、残された時間をご家族と有意義に過ごしていただくためには、それも必要となってくる時もあるのかもしれません。
私の父も余命を宣告されましたが、宣告された月日よりずっとずっと短く最期を迎えてしまいました。
運悪く、退院の日が土日が重なってしまい、担当の先生が不在のため2日間退院を延ばされてしまいました。
退院してわずか10日後、父は亡くなりました。今もあの土日の2日間が無駄に病院に居たようで悔やまれます。
猫さんの場合は人の4倍の速さで年を取っていると言われています。人間よりも1分、1秒が貴重になってきます。
当院では最期を迎えそうな子については苦しみ、痛みが無い限り自宅でご家族の許、迎えられるようにしています。
Mちゃんの場合、多少苦しんだようですが、1週間病院に来院することなく自宅で最期を迎えることが出来ました。
最期が近づくとその時その時で動物の状態は変わっていきます。
そのため、ご家族の想いもその時その時で変わっていくのも当然です。
その想いに応えられるよう、寄り添っていけるよう、一方で、常に1分1秒を無駄にしないよう今以上に心がけていくようにMちゃんに思い起こされた気がします。
共に過ごせる時間の尊さ…忘れずに過ごしたいものです
スポンサーサイト